3/17(金)〜3/30(木)料金:1000円〜1700円
ピエール・エテックスって誰?
長らく観ることの叶わなかった
フレンチコメディの傑作が一挙公開!
【特別イベント開催のお知らせ】
パントマイムや道化師の手法であるクラウニングをベースに遊び心あるパフォーマンスを行う「ゼロコ」の二人組がStrangerに登場!
『ピエール・エテックス特集』にあわせて劇場でパントマイムを披露してくれます。世界を舞台に活躍するお二人のパフォーマンスをどうぞお楽しみに!
▼詳細はこちらのイベント情報をチェック!
https://stranger.jp/information/event/904/
※ご予約は1週間前の0時より開始です。
ピエール・エテックス特集
映画監督、俳優、イラストレーター、道化師…、数え尽くせぬ顔をもつフランスのマルチアーティスト ピエール・エテックス。イラストレーターとして活躍していた20代半ばにジャック・タチと運命的な出会いを果たし、『ぼくの伯父さん』(58)の助監督を務め、映画界に参入。のちに偉大な脚本家となるジャン=クロード・カリエールとタッグを組み、緻密な構想と見事な演出、そして無声喜劇へのオマージュに溢れた作品を世に送り出します。しかし、公開から時が経ち、フランスの法律上の問題によって20年以上も公開できない状況にあることが判明。上映権を取り戻すため、ジャン=リュック・ゴダールやレオス・カラックス、ミシェル・ゴンドリー、デヴィッド・リンチなどの映画人を含む5万人以上の人々が署名活動に協力し、晴れて2010年に権利が復活。エテックス監修のもとデジタル修復を施された作品は、世界各国で再び上映することが可能となり、この10年でエテックスの再評価は格段に進みました。
今回の特集上映では、長編4作品と短編3作品を一挙公開。『恋する男』を除く6作品が、日本では劇場正式初公開となります。不遇の時代を経て、映画界によって再発見されたピエール・エテックスの世界を、心ゆくまでご堪能ください。
ピエール・エテックス Pierre Étaix
1928-2016
映画監督・俳優・道化師・手品師・イラストレーター・作家・音楽家
1928年11月23日、フランス生まれ。幼いころからチャップリンやキートンなどの喜劇映画やサーカスに夢中で、サーカスやキャバレーの芸人、グラフィック・デザイナーといった職を転々とする。ジャック・タチの『ぼくの伯父さんの休暇』を観て熱狂し、タチに芸の助言を求めたのがきっかけで『ぼくの伯父さん』の製図家、アシスタントを務めることに。さらに、ポスターのイラストやノベライズ版の挿絵を描き、ユロ氏の象徴的なシルエットを生み出す。その後、ジャン=クロード・カリエールと共に映画制作を開始。短編二作目『幸福な結婚記念日』でアカデミー賞最優秀短編実写映画賞を受賞し、満を持して長編作品に取りかかる。一方で映画俳優としても活躍。主な出演作に、ロベール・ブレッソン『スリ』、ルイ・マル『パリの大泥棒』、フェデリコ・フェリーニ『フェリーニの道化師』、大島渚『マックス、モン・アムール』、アキ・カウリスマキの『ル・アーヴルの靴みがき』、オタール・イオセリアーニ『ここに幸あり』『皆さま、ごきげんよう』など。
権利問題が理由で長く劇場で上映されず、またソフト化もされていなかったが、多くの映画人と映画ファンが行った署名活動により、2010年に裁判で勝訴し、すべての権利を取り戻すことができた。その結果、ほとんどの作品のデジタル・リマスター化が進み、多くの国でも上映が実現。しかし、そんな中、惜しくもエテックスは、2016年10月14日に87年の生涯を閉じた。
監督・脚本・主演:ピエール・エテックス 脚本:ジャン=クロード・カリエール
1962年/ フランス / モノクロ / ヨーロッパ・ヴィスタ / モノラル / 84分 / 字幕:井村千瑞
© 1962 - CAPAC
1963年 ルイ・デリュック賞 受賞
天文学の研究に没頭してばかりの引きこもりの三十男。ある日両親に結婚を命じられ、伴侶となる女性を探しに街に繰り出すが、トホホな出来事の連続。しまいには、テレビに映るスーパースターの歌手・ステラに心を奪われてしまい、なんとかして彼女と結婚するために奔走する…。エテックス×カリエールの記念すべき初長編映画。フランス本国で大ヒットし、喜劇映画ではジャック・タチの『ぼくの伯父さんの休暇』以来となるルイ・デリュック賞を受賞。
監督・脚本・主演:ピエール・エテックス 脚本:ジャン=クロード・カリエール
1964年/ フランス / モノクロ / ヨーロッパ・ヴィスタ / モノラル / 98分 / 字幕:神谷直希
© 1965 - CAPAC
1965年 カンヌ国際映画祭 青少年向最優秀映画賞 受賞
1965年 ヴェネチア国際映画祭 国際カトリック映画事務局賞 受賞
世界恐慌で破産した大富豪は、サーカスで曲馬師をする女性と、彼女との間にかつてもうけた幼い息子とともに、地方巡業で暮らしを立てることに。サーカス界で成功をおさめた息子はヨーヨーという人気クラウンになる。時代が大きく変わる中、ヨーヨーはかつて父が所有していた城を取り戻そうと躍起になるが…。愛するサイレント喜劇と、幼い頃から憧れたサーカスへのオマージュに溢れた代表作。トリュフォーが絶賛し、ゴダールがその年のベストテンに選出した。
監督・脚本・主演:ピエール・エテックス 脚本:ジャン=クロード・カリエール
1965年/ フランス / パートカラー / ヨーロッパ・ヴィスタ / モノラル / 67分 / 字幕:横井和子
© 1973 - CAPAC – Les Films de la Colombe
なかなか寝付けない男の一夜を描いた<不眠症>、映画館にいたはずが、幕間に流れるCMのおかしな世界へ入り込んでしまう<シネマトグラフ>、近代化が進む都市で人々が受ける弊害をシュールに描いた<健康でさえあれば>、都会の夫婦・下手くそハンター・偏屈な農夫が織りなす田園バーレスク<もう森へなんか行かない>の4編からなるオムニバス・コメディ。1966年にフランスで公開されたが、71年にエテックス自身によって再編集が施され、現バージョンに生まれ変わった。
監督・脚本・主演:ピエール・エテックス 脚本:ジャン=クロード・カリエール
1968年 / フランス / カラー / ヨーロッパ・ヴィスタ / モノラル / 87分 / 字幕:寺尾次郎
© 1968 - CAPAC
1969年 フランスシネマ大賞 受賞
1969年 カンヌ国際映画祭 国際カトリック映画事務局賞 受賞
工場を営む実業家の一人娘と結婚した男。義父から仕事を任され、夫婦仲も良好ながら、どこか満たされない退屈な日々を送っていた。そんなある日、若く美しい秘書が現れ、どうしようもなく惹かれてしまい…。愉快な遊び心と想像力に溢れた初のカラー長編。妄想がエスカレートした男の夢に現れる、いくつものベッドがまるで車のように道を走るシーンは本作の白眉の一つだろう。ブニュエル並みにブルジョワジーを批判しながら、夢幻的な喜劇に仕上げているのも特徴だ。
監督・脚本:ピエール・エテックス、ジャン=クロード・カリエール
1961年 / フランス / モノクロ / スタンダード / モノラル / 12分 / 字幕:横井和子
© 1961 – CAPAC
恋人から手紙を受け取った男。中には破かれた自分の写真が同封されていた!こちらも負けじと別れの手紙を書こうと奮闘するが、万年筆、インク、便箋、切手、デスク…なぜか翻弄されてどうしても返事を書くことができない。ジャック・タチの縁で出会ったエテックス×カリエールによる初の短編作。セリフがなく、音を使ったギャグが冴える秀作。
監督・脚本:ピエール・エテックス、ジャン=クロード・カリエール
1961年 / フランス / モノクロ / スタンダード / モノラル / 13分 / 字幕:井村千瑞
© 1961 – CAPAC
1963年 アカデミー賞 最優秀短編実写映画賞 受賞
1963年 英国アカデミー賞 最優秀短編映画賞 受賞
ある夫婦の結婚記念日。妻の用意するディナーに間に合うよう、プレゼントやワインを買い込み家路を急ぐ夫。しかし、パリの交通渋滞やその他の問題に巻き込まれ一向に辿り着けない。果たして、幸せな記念日にすることができるのか?当たり前のことがどんどん遅延することによって笑いを誘うエテックス×カリエールならではの喜劇の傑作。
監督・脚本・主演:ピエール・エテックス 脚本:ジャン=クロード・カリエール
1965年 / フランス/ モノクロ / ヨーロッパ・ヴィスタ / モノラル / 14分 / 字幕:横井和子
© 1971 - CAPAC
田舎でソロキャンプをする青年。しかし、警官に管理の行き届いたキャンプ場に行くように言われてしまう。そこは有刺鉄線で囲われた、まるで強制収容所(キャンプ)で…。当初は『健康でさえあれば』(65)の一部を成していたが、71年の再編集で外された。2010年にデジタル修復された際に、ほかの作品とともに公開され、短編として生まれ変わった。
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