4/28(金)〜5/11(木)料金:1000円〜1700円
権力と暴力の現場としてのヴァンゼー会議
史上最悪の会議の全貌が
80年後のいま、明らかになる。
1942年1月20日正午、ドイツ・ベルリンのヴァンゼー湖畔にある大邸宅にて、ナチス親衛隊と各事務次官が国家保安部長官のラインハルト・ハイドリヒに招かれ、高官15名と秘書1名による会議が開かれた。議題は「ユダヤ人問題の最終的解決」について。「最終的解決」はヨーロッパにおける1,100万ものユダヤ人を計画的に駆除する、つまり抹殺することを意味するコード名。移送、強制収容と労働、計画的殺害など様々な方策を誰一人として異論を唱えることなく議決。その時間は、たったの90分。史上最悪の会議の全貌が80年後のいま、明らかになる。
2022年/ドイツ/112分/ビスタ/5.1ch
原題:Die Wannseekonferenz/英題:THE CONFERENCE/字幕翻訳:吉川美奈子/字幕監修:柳原伸洋
監督:マッティ・ゲショネック
出演:フィリップ・ホフマイヤー、ヨハネス・アルマイヤー、マキシミリアン・ブリュックナー
1942年、欧州ではユダヤ人迫害がすでに始まっていた。1月20日、ドイツ・ベルリンのヴァンゼー湖畔の別邸で、とある会議が開かれた。主催は、国家保安本部長官のラインハルト・ハイドリヒ。議題は“ユダヤ人問題の最終解決”だ。会議室の準備をするのは、アイヒマン親衛隊中佐。ミュラー親衛隊中将は、到着してすぐ会議室に向かい、座席を確認。気に食わない者は下座に移動させ、最終チェックする。そこに次々と到着する高官たち。最後に到着したのは、ハイドリヒだ。会議前にルター次官補とランゲ親衛隊少佐を呼び出し、会議資料に目を通しながら現状把握をし、コンセンサスをとる。
その日の正午、15名の高官と秘書による史上最も恐ろしい会議が始まった。まずは、冒頭でハイドリヒが「組織面、実務面、物資面で必要な準備をすべて行い、欧州のユダヤ人問題を総合的に解決せよ。関係中央機関を参加させ、協力して立案し検討するように」と、ゲーリング国家元帥の言葉を伝え、会議目的を明確にする。そして「ユダヤ人問題の最終解決を実施せよ」つまり、全ユダヤ人の絶滅を目標に掲げることを示す。さらに議題に映る前に、ゲーリング国家元帥の指示により、以降のユダヤ人問題の最終解決は、ヒムラー親衛隊全国指導者の管轄であり、ハイドリヒが権限を持つことを宣言する。
まずはじめのアジェンダは、ポーランド総督府管轄になるアウシュヴィッツへの輸送について。全ユダヤ人の人口は、1,100万。各々が懸念点をあげるなか、国家保安本部ゲシュタポ局ユダヤ人課の課長としてアイヒマンが監督責任を負うとともに巧みな輸送方法を提案。その抜かりない計画に満場一致で同意する。次に、強制労働についての議論に及ぶ。東部をゲルマン化するために必要な道路建設現場などで重労働させることで過労死を狙い、過労死しなかった者は“特別処理“を行う計画を提案。この方策にも全員が賛同する。最後に、疎開の対象について協議が行われた。ドイツ国籍以外のユダヤ人、ユダヤ人の定義とその対象について話し合いを進めるも話が複雑化する。一時中断したあと休憩スペースのサロンに集まる高官たち。そこで、アイヒマンから建設中のアウシュビッツ強制収容所での具体的な計画が説明されると、出席者全員から安堵の表情が浮かび上がる。これにて、“ユダヤ人問題の最終解決“が決定。国家機密である確定事項は議事録に残され、関係者に共有された。
この「ヴァンゼー会議」により、ホロコーストは加速。
最終的に、国民社会主義者の支配下で600万人のユダヤ人が殺害された。
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