7/28(金)〜8/10(木)料金:1000〜1700円
憧れの映画業界、のはずだった——
新人アシスタントが気付いてしまったのは
誰もが見て見ぬふりをしている、その〈闇〉
膨大な実話から巧緻に練り上げられた
ある一日の物語
すべての人に問いかける
87分の静かな衝撃
ニューヨーク・タイムズスクエアの裏手にある薄汚れたオフィスで、18日間という短期間で撮影された本作は、サンダンス・ベルリンを始めとした世界中の映画祭や各メディアによって高く評価された。大物映画プロデューサーの下で働く野心ある若い女性を主人公に据え、彼女の未来を決定づけるかもしれない、ある耐え難い1日を描いている。
『ジョンベネ殺害事件の謎』(2017)で知られるドキュメンタリー映画作家のキティ・グリーンは、2017年に巻き起こった#Me Too運動に自身初の劇映画の題材を見出し、今日の職場における大きな問題をフィクションの形で掘り下げた。画面の中には決して顔を見せないボス、その電話越しの声は一見ハーヴェイ・ワインスタインを彷彿とさせるが、本作のアイディアはさまざまな実話にもとづいている。
英語で匿名の女性を指す“Jane Doe” に由来するジェーンというキャラクターは、数百にも及ぶ労働者へ対して行われたリサーチとインタビューによって監督が得た膨大な知見、とりわけ女性の痛みや混乱の経験から形成されている。さらには、ビジネストークの断片、キーボードの音、電話の着信音などに焦点を当てることで、彼女の仕事の無味乾燥なムードを見事に構築した。
そして、ヒエラルキーの末端で働く人々の代弁者でもあり、現代のジャンヌ・ディエルマンとも言えるジェーンを演じたのは、いま最もエキサイティングな若手俳優として急速に地位を確立しているジュリア・ガーナー。細かな演技の積み重ねによって、オフィスで働く人間の仕草やクセ、息苦しいストレスそして、トップ企業に巣食うハラスメントや搾取の空気と、末端社員である自らの信念との間の葛藤を巧みに表現している。
2019年|アメリカ|英語|87分|2:1|カラー|原題:The Assistant
© 2019 Luminary Productions, LLC. All Rights Reserved.
監督・脚本・製作・共同編集:キティ・グリーン
出演:ジュリア・ガーナー、マシュー・マクファデイン、マッケンジー・リー
名門ノースウェスタン大学を卒業したばかりのジェーン(ジュリア・ガーナー)は、映画プロデューサーという夢を抱いて激しい競争を勝ち抜き、有名エンターテインメント企業に就職した。業界の大物である会長のもと、ジュニア・アシスタントとして働き始めてもうすぐ二ヶ月。夜明け前にアストリアの自宅を出発し、誰よりも早く出社して誰よりも遅く帰る毎日。華やかさとは無縁の殺風景なオフィス。仕事といえば平凡な事務作業ばかりだが、同僚には厄介な仕事はすべて押し付けられ、会長には気まぐれな要求と暴言を吐きかけられる……しかし、彼女は自分が即座に交換可能な下働きでしかないということも、将来大きなチャンスを掴むためには、会社にしがみついてキャリアを積むしかないこともわかっている。そんな中、新しいアシスタントとしてアイダホからやってきた若い女性の研修を依頼されるが……
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