10/13(金)〜10/26(木)料金:1000〜1600円
伝説的な映画監督による不朽の傑作がスクリーンに!
ドイツを代表する映画監督
ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーの4作品。
『ペトラ・フォン・カントの苦い涙』
『マリア・ブラウンの結婚』
『天使の影』
『不安は魂を食いつくす』
ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーの傑作を特集上映。待望の日本初公開作品を含む貴重な4作品を一挙上映します。70年代を駆け抜けた伝説的な作品群をいまスクリーンで!
ファスビンダーはナチスから戦後に至るドイツ社会の傷を自らに刻むように多くの映画・戯曲を発表した。その生々しい時代の記録は21世紀の今になっても挑発力を失わない。むしろ我々の時代がようやくファスビンダー追いついたのかもしれない。
渋谷哲也(日本大学文理学部教授/ドイツ映画研究)
1972年/西ドイツ/ドイツ語/124分
監督・脚本・原作:ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー
出演:マーギット・カーステンゼン、ハンナ・シグラ、イルム・ヘルマンほか
原題:Die bitteren Tränen der Petra von Kant
配給:セテラ・インターナショナル
©Rainer Werner Fassbinder Foundation
ファスビンダーが、愛の孤独と絶望の中で葛藤する女性たちを描いた闘争劇。
まるでベルイマン作品を思わせるような、巧緻な作劇と計算されたキャメラワーク。
愛の不可能を重厚なドラマとして結晶させた傑作中の傑作!
ニュー・ジャーマン・シネマの鬼才ライナー・ベルナー・ファスビンダーが1972年に手がけた、女性同士の愛を描いたメロドラマ。これまでの素人俳優による集団創作から離れ、メロドラマへの新境地を開き、自身で書き上げた戯曲を映画化、濃密なる愛のドラマを生み出した。映画は終始、主人公ペトラのアパルトマンの一室で展開される。その演劇的空間と映画的構図、衣装や絵画による色彩効果、印象的な音楽の挿入など、実験的な演出が取り入れられ、多作なファスビンダー監督の中でも最も完成度の高い作品となった。1972年のドイツ映画賞で主演女優賞、助演女優賞、撮影賞を受賞。ペトラ役はマルギット・カルステン、カーリン役は後に『マリア・ブラウンの結婚』でベルリン国際映画祭の女優賞、『ピエラ 愛の遍歴』でカンヌ国際映画祭の女優賞を受賞するハンナ・ジグラ。支配するものと支配されるものとの愛の残酷が、レンズを通して、見るものに突き刺さる。異能の人ファスビンダーの傑作中の傑作!2022年には、ファスビンダーを敬愛するフランスのフランソワ・オゾン監督が、本作を翻案して描いた『苦い涙』を発表。
<あらすじ>
ファッションデザイナーのペトラは、二度目の結婚に失敗して落ち込んでいた。助手のマレーネをしもべのように扱いながら、アトリエ兼アパルトマンの部屋で暮らしている。そこに、友人が若く美しい女性カーリンを連れてやってくる。彼女に惹かれて同棲をはじめるが…。
1978年 / ドイツ / カラー / 120分
脚本/ ペーター・メアテスハイマー、ペーア・フレーリヒ 撮影 / ミヒャエル・バウハウス
出演 / ハンナ・シグラ、クラウス・レーヴィッチュ、ギゼラ・ウーレン、クラウス・ホルム
©️ RAINER WERNER FASSBINDER FOUNDATION
戦争末期の混乱の中で、永遠の愛を誓ったマリアの数奇な人生。
運命に翻弄されながらも逞しく生き抜く女性の姿を、
戦後ドイツの復興とともに描いたファスビンダーの代表作。
ファスビンダーの名を世界に轟かせた大ブレイク作にして究極の<女性映画>。第二次世界大戦の真っ只中、マリアは恋人のヘルマンと結婚式を挙げるが、ヘルマンはすぐに戦線に戻り行方不明になってしまう。新たなパートナーとともに戦後の混乱を乗り越えていこうとするマリアだったが……。鳴り響く銃声や爆撃音とウエディング・ドレスのコントラストが衝撃的なオープニングに始まり、鮮烈なイメージが怒涛のごとく押し寄せる究極のメロドラマ。戦争末期からドイツがめざましい復興を遂げる1950年代半ばまでの約10年間にわたるヒロインの生き様が活き活きと描かれる。波乱万丈な運命を辿るマリアを艶やかに演じたのはファスビンダー映画常連のハンナ・シグラ。本作で第29回ベルリン映画祭銀熊賞を受賞した。
1976年 / スイス / カラー / 101分
監督 / ダニエル・シュミット 脚本 / ダニエル・シュミット、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー 撮影 / レナート・ベルタ
出演 / イングリット・カーフェン、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー、クラウス・レーヴィッチュ、アードリアン・ホーヴェン
©️ RAINER WERNER FASSBINDER FOUNDATION
ふたりの男性の間で揺れ動く、ある娼婦の歪んだ愛。
ファスビンダーの戯曲を映像化した『ヘカテ』のダニエル・シュミット監督作、
待望の日本劇場初公開。
とある都会の片隅に立つ娼婦リリーは、その繊細な性格から仲間内では浮いた存在。家に帰ればヒモ男ラウールに金をせびられる日々。そんなある日リリーは闇社会の大物であるユダヤ人に見初められるが、次第に破滅願望が強くなっていく。反ユダヤ的とされ非難を浴びながらも、今なお世界中で繰り返し上演されるファスビンダーの戯曲「ゴミ、都市そして死」を、親友でもある『ラ・パロマ』(74)、『ヘカテ』(82)のシュミット監督が映画化。主演はファスビンダーと一時期結婚していたイングリット・カーフェン。露骨な台詞が散りばめられ、絶望に満ちた物語ながら、名キャメラマン、レナート・ベルタが描き出す退廃美に溢れた映像は限りなく素晴らしく、全編に夢のような心地がたゆたう。
1974年 / ドイツ / カラー /93分
脚本 / ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー 撮影 / ユルゲン・ユルゲス
出演 / ブリギッテ・ミラ、エル・ヘディ・ベン・サレム、バーバラ・ヴァレンティン、イルム・ヘルマン
夫を亡くした初老の白人女性とモロッコから来た若い外国人労働者。
ふたりはごく自然に惹かれ合って結婚するも、世間はそれを許さなかったーー。
あまりに美しく残酷な愛の物語、ついに日本劇場初公開。
ある雨の夜、未亡人の掃除婦エミは近所の酒場で年下の移民労働者の男、アリに出会う。愛し合い、あっという間に結婚を決める彼らだったが、エミの子供たちや仕事仲間からは冷ややかな視線を向けられる。年齢や文化、肌の色、何もかもが異なる二人の愛の行方は。ダグラス・サーク監督作『天はすべて許し給う』(55)の物語を下敷きに、愛に起因する苦悩や残酷さを鮮やかに描き出した不朽の傑作。ベテラン女優、ブリギッテ・ミラとファスビンダーの愛人であったエル・ヘディ・ベン・サレム(本作の公開直前に事件を起こし服役、後に獄中で死亡。ファスビンダーの遺作『ケレル』は彼に捧げられている)による名演が圧倒的で、アキ・カウリスマキ監督らに影響を与えたとされる。第27回カンヌ国際映画祭国際批評家連盟賞。
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