10/28(土)〜11/9(木)料金:1000〜1700円
ハプスブルク家最後の伝説的皇妃エリザベート
自由を渇望した彼女の知られざる心の軌跡
監督はオーストリア映画界を代表する気鋭、マリー・クロイツァー。2019年ベルリン国際映画祭コンペティション部門に選出された『The Ground Beneath My Feet(英題)』は、世界的にも高い評価を受けた。本作『エリザベート 1878』は、『We Used to beCool(英題)』(16)でコラボレーションを果たしたヴィッキー・クリープスからのラブコールに応える形で、監督自ら脚本を執筆し、再タッグが実現した。
本作のもうひとつの特徴として、時代を自由に行き来する斬新な音楽の選択も見逃せない。クロイツァー監督はここでも現代的な感覚をもたらすために、フランスの人気シンガー、カミーユを起用し、他にもソープ&スキンの曲や、ザ・ローリング・ストーンズの「アズ・ティアーズ・ゴー・バイ」のハープ版カバーなどを要所要所で用いている。とくに女性シンガーたちの歌声は、エリザベートの内面を代弁するような響きに満ち、一層切なさをもたらす。
2022年、第75回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門でワールドプレミアを迎えた本作は、主演ヴィッキー・クリープスが最優秀演技賞に輝き、ロンドン映画祭でも最優秀作品賞を受賞。第95回アカデミー賞国際長編映画賞ショートリスト(オーストリア代表)にも選出され、シアーシャ・ローナンやクリステン・スチュワート、エドガー・ライト監督、パティ・スミスほか、各界著名人からも賞賛の声が寄せられた注目作となった。
2022年/オーストリア、ルクセンブルク、ドイツ、フランス/ドイツ語、フランス語、英語、ハンガリー語/114分/カラー・モノクロ/2.39 : 1/5.1ch
脚本・監督:マリー・クロイツァー
出演:ヴィッキー・クリープス、フロリアン・タイヒトマイスター、カタリーナ・ローレンツ、ジャンヌ・ヴェルナー、アルマ・ハスン、マヌエル・ルバイ、フィネガン・オールドフィールド、アーロン・フリエス、ローザ・ハッジャージュ、リリー・マリー・チェルナー、コリン・モーガン
1877年のクリスマス・イヴ。40歳の誕生日を迎えたエリザベートは、容姿の衰えに過剰に敏感になっていた。周囲の者はつねに彼女の美を話題にし、公務で外に出るたびに、多くの好奇の目に晒されるからである。彼女には、自分に注がれるすべての視線が、若かりし頃と比べているようにしか思えなかった。
コルセットをできるだけきつく締め上げ、過度のダイエットを続けながら、乗馬やフェンシングなど好きなスポーツで体重維持を保っていた。医者からは、「平民なら40歳は寿命の歳」と言われ、無理をしないようにと忠告されるものの、その言葉は彼女をなおさら憂鬱にさせる。艶やかな衣装に身を包み、華やかなオーラを発して羨望の的としてもてはやされた人物が、しかしそれゆえに後年、いかに苦しむことになったのか。
19世紀の宮殿では、女性は男性の価値を上げるものとして、男性の傍で賢く、行儀よく、出しゃばりすぎず、政治にも口を出さずに美しさを振りまくことを求められた。宮殿のしきたりと、子供たちに厳格な教育をほどこす専制的な姑の影響で、自身の子供にすら思うままに愛を注ぐことができないエリザベートの孤独はますます深まっていく。人生に対する情熱や知識への渇望、若き日々のような刺激を求めて、イングランドやバイエルンを旅し、かつての恋人や古い友人を訪ねる中、誇張された自身のイメージに反抗し、自分らしさを取り戻すために、とある計画を思いつくのだった…。
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