1/7(土)〜1/18(水)
2022年はインディーズレーベルを中心に数多くの邦画が制作・上映されました。その中から注目すべき作品やもう一度スクリーンで観たい作品を集めて特集上映を開催します。
AFF(ARTS for the future!:文化庁のコロナ禍からの文化芸術活動の再興支援事業)によって制作された作品をはじめ、数多くの小・中規模映画が上映された2022年。優れた作品や注目すべき作品も登場し、邦画のインディーズレーベルの質と量はこれまでにない活況をみせています。2022年の豊富な邦画ラインナップの中から、公開時期の短かった作品やもう一度スクリーンで観たい作品を一堂に集めて上映します。邦画の現在をあらためて振り返るStrangerオリジナルの特集です。
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https://stranger.jp/information/event/667/
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2022年/日本/77分/DCP上映
脚本・監督:高橋 洋
出演:中原 翔子/河野 知美/横井 翔二郎/浅田 麻衣/内田 周作/羽柴 裕吾/古山 憲太郎
不気味な洋館、呪われた事件を演じる二人の女優
彼女たちに憑依したのは「役」なのか「霊」なのか?
『女優霊』『リング』から『霊的ボリシェヴィキ』に至る、
高橋洋監督の“霊的モード”探究の集大成がここに。
女優で劇作家のナオミ(中原翔子)は一夏借りた山荘で、かつて自分の夫を略奪した女優ミズキ(河野知美)を呼び寄せ、芝居の稽古を始める。題材となるのはある謎めいた母親殺しの事件だった。マネージャーの大牟田(横井翔二郎)と共にやって来たミズキは、母親を殺した娘の役を演じるにつれ、事件が起きたのはこの屋敷ではないかと疑い始める….。
https://misogyny-movie.com/
2021年/日本/125分/DCP上映
監督・脚本:佐向大
出演:足立智充/玉置玲央/菜葉菜/高橋努/⽟井らん/坂巻有紗/山本ロザ/信太昌之/杉山ひこひこ/あらい汎
<罪>を背負ったふたりの男が、夜のロードサイドを彷徨する──。
果たして彼らに、<夜明け>はやってくるのだろうか。
郊外のスクラップ工場で働くふたりの男。ひとりは40歳を過ぎて独身、不器用な性格が災いして嫌味な上司から目の敵にされている秋本。ひとりは妻子との暮らしに飽き足らず、気ままに楽しみながら要領よく世の中を渡ってきた谷口。退屈な、それでいて平穏な毎日を過ごしてきたふたりだったが、ある夜をきっかけに、彼らの運命は大きく揺らぎ始める・・・・・・。
http://mermaidfilms.co.jp/yoruwohashiru/
2021年/日本/97分/DCP上映
監督:保谷聖耀
脚本:京阪一二三
主題歌/挿入歌:呂布カルマ
出演:渡邊邦彦/丸山由生立/呂布カルマ/桐山瑠衣/大迫茂生/じろう/平澤由理/みやたに/稲生平太郎/近藤佑磨
少年の紡ぐ物語が暗黒の現実を浸蝕し、
やがて真実の光を放つ
ディストピアから天上の涅槃へと跳躍する
恐るべきネオSFサスペンス
ある片田舎の中学校。転校生オサムは、廊下で一人の少年ホウスケが同級生に自作の漫画を汚されているのを目撃する。漫画の題名は「虚無ダルマ」。それは、フリースタイル説法で街を支配する〈虚無ダルマ〉と米国のスパイであるジョージ・ワタナベらが、達磨光現器と呼ばれる謎めいた機械をめぐり繰り広げる暗黒の活劇漫画だった…。漫画の世界と現実が次第に混濁していくなかで、ホウスケは〈虚無ダルマ〉の組織で働く謎の青年「マルヤマ」の姿を見る。憑かれたような表情で登校したホウスケは、不思議な言葉を全校生徒に向かって叫ぶ。
「宇宙人の画家の絵を見た」と。
https://www.eiganokai.com/alienartist/
2021年/日本/120分/DCP上映
監督・脚本:杉田協士
原作:東直子
出演:荒木知佳/新部聖子/金子岳憲/伊東沙保/能島瑞穂/日髙啓介/名児耶ゆり/北村美岬/黒川由美子/深澤しほ
歌人の東直子による第一歌集『春原さんのリコーダー』の表題歌を杉田協士監督が映画化。
撮影を飯岡幸子(『うたうひと』『ひかりの歌』『偶然と想像』)、照明を秋山恵二郎(『花束みたいな恋をした』『きみの鳥はうたえる』)、音響を黄永昌(『不気味なものの肌に触れる』『VIDEOPHOBIA』)が務める。前作『ひかりの歌』が口コミなどの評判により全国各地での公開へとつながった杉田協士監督の長編第3作。第32回マルセイユ国際映画祭 インターナショナル・コンペティション部門にて日本映画初となるグランプリのほか俳優賞、観客賞の三冠に輝いた。
美術館での仕事を辞めてカフェでのアルバイトを始めた沙知(24)は常連客から勧められたアパートの部屋に引越しをする。そこでの新しい生活を始めた沙知だったが、心にはもう会うことの叶わないパートナーの姿が残っている。
https://haruharasannouta.com/
2021年/日本/51分/DCP上映
監督:安達勇貴
脚本:四本研祥
出演者:二田絢乃/田中一平/黒住尚生/はぎの一/ながいじょうじ/KAZUKI/佐々木美佳/清水かなえ/白山ゆり/所七海/四本茜
コロナ禍を通した世界の変容を目の当たりする中で、いま一度愚直に恋愛とその自由を正面から描くことを目指し制作を開始された本作は、東京に生きる恋人、マアサとカイの真摯な、しかし不器用な恋の躍動を描いた作品。
「哀しみのスラップスティック」と評された俳優たちの喜びと悲痛さに満ちた存在感だけでなく、ロケ地である大森の街など、2 人を包む空間の豊かな表情も見どころである。
第 22 回 TAMA NEW WAVE では審査員による特別賞も受賞。
東京に生きる恋人、マアサとカイ。ケンカが絶えないながらも楽しく、自由に共に時間を過ごしている。 地元の友人アキとの再会を楽しんだ二人は、いずれ結婚するであろう彼と、自分たちの未来に思いをはせる。 撃ち合いごっこをしながら駆け抜けていく夜の街。消えてしまった彼らの犬の墓。
カイの知らないうちに、マアサは他の誰かと寝て、ダンスを覚える。不器用な愛をぶつけるカイと、それでも孤独を感じてしまうマアサ。2 人の、そしてそれぞれの時間が過ぎる。そんなある時、突然アキが失踪したと連絡が届く。
https://yasashisanosubete.studio.site/
2022年/日本/44分/DCP上映
監督・脚本:深田隆之
出演者:吉見茉莉奈/笠島智
2022年6月に深田隆之監督初の劇場公開作『ある惑星の散文』が上映され、大きな話題を呼んだ。そして早くも最新作『ナナメのろうか』が公開決定! 姉妹関係の変化を描く珠玉の44分。
前作『『ある惑星の散文』は作家性や芸術性の高さが評価される映画祭での上映が相次いだ。
フランスのベルフォール国際映画祭やアメリカポートランド美術館で上映され、その豊かな映画表現とロケーションから着想を得たユニークな映画作りは観客の注目を集めた。最新作では44分という短い上映時間の中に2つの側面を持つ映画を見事に生み出した。
改装される予定の祖母の家に来た姉妹、聡美と郁美。妹の郁美は妊娠し、シングルマザーになる決意をしていた。二人は家に残された物を片付け始めるが、昔遊んだおもちゃ箱を見つけ、こどもの頃のように遊び始める。しかし、お腹の子どもをめぐってお互いの溝が露わになり、二人は家の中ですれ違い、会えなくなってしまう。嵐の夜の中、姉妹は暗闇の中でお互いを呼び合うのだった。
https://www.itchan-and-satchan.com/
© LesPros entertainment/©Soichiro Suizu
2022年/日本/76分/DCP上映
監督・脚本:井樫彩
出演者:福地桃子/岡山天音/野崎智子/吉⽥⼤駕/赤瀬一紀/丸林孝太郎/上野凱/久保田磨希/諏訪太朗/安藤玉恵
最も期待される俊英・井樫彩監督がオリジナル作品で挑む「喪失と再⽣」の物語
福地桃⼦と岡⼭天⾳、初共演で魅せる新境地
『溶ける』で⽇本⼈最年少でのカンヌ国際映画祭の出品を果たした監督・井樫彩。『真っ⾚な星』(2018)、『21世紀の⼥の⼦』「君のシーツ」(2019)、『NO CALL NO LIFE』(2021)と、同世代を⽣きる若者の⼼情を捉える確かな作劇と特有の映像センスで観客を魅了してきた彼⼥の最新作となる本作では、透明感あふれる声と佇まい、瑞々しい演技が持ち味の福地桃⼦が主演を務め、孤独と喪失の中で⽇々を静謐に⽣きる奈々を演じきっている。
若くして、海辺の町にある旅館・中島荘を営む中島奈々(福地桃子)。中島荘が休業中の9月上旬、ひとりの青年・藤井俊太郎(岡山天音)が「どうしても泊めてほしい」と訪ねてくる。彼は一年前に愛する人を失い、その恋人が亡くなる直前に、この旅館に宿泊していたと語る。奈々は亡くなってしまった俊太郎の恋人のことがすぐに思い当たり、彼女について、「笑顔が印象的でした」と振り返る。
俊太郎は恋人の足跡を辿り、彼女の死を理解するために、昼も夜も町に海にと彷徨い、歩き回る。そんな俊太郎の姿を目にしていた奈々は、この土地の案内役を買って出て、いつしか彼と行動をともにするようになりーーー。
(C)2021 E&E
2020年/日本/111分/DCP上映
監督・脚本:大野大輔
出演者:早織/大野大輔/濱正悟/加藤玲奈/川上奈々美/ひらく/福永朱梨/小竹原晋/堀田眞三/西山小雨
売れない、金ない、時間ない−――俺たちに明日はない!?
時代遅れのミュージシャン月見ゆべしと、
彼女のために奔走するマネージャー信太。
鮮烈なメロディに乗せて綴る、“持たざる”2人の激苦⻘春のラプソディ。
TAMA NEW WAVE でグランプリ他3冠に輝いた傑作『ウルフなシッシー』や YouTube ドラマから発展した怪作『アストラル・アブノーマル鈴木さん』の⻤才・大野大輔監督が、今回は平成から令和へと変わりゆく時代を生きる夢追い人、そして“持たざる”者たちにスポットを当て、持ち前の心に刺さるセリフの数々の繰り出しながら、不器用で一筋縄ではないキャラクターたちの日常と"ジワる”人間臭さを照射する。30 歳で出会った、愚かで愛おしい夢追い人である2人の愛と⻘春の日々は時に愛おしく時に残酷に過ぎてゆく―――。
ロックデュオ「チカチーロンズ」のボーカル・信太はある日の対バンライブでギターの直也にドタキャンを食らわされる。路頭に迷う信太に救いの手を差し伸べたのはシンガーソングライターの月見ゆべしだった。売れない、金ない、時間ない、三十路同士の二人は共鳴し、やがて信太はゆべしのマネージャー...そして恋人となる。しかしメジャーに進出させたい信太と自分のスタイルを頑なに曲げないゆべしの溝は日に日に深まっていくばかりで...。
(C)2021「愛なのに」フィルムパートナーズ
2021年/日本/109分/DCP上映
監督:城定秀夫
脚本:今泉力哉・城定秀夫
出演者:瀬戸康史/さとうほなみ/河合優実/中島歩/向里祐香/丈太郎/毎熊克哉
女子高生の求婚、憧れの女性の結婚―――。
古本屋店主・多田浩司の受難と
真っ直ぐで厄介な愛情の日々。
監督:城定秀夫×脚本:今泉力哉による本作は、古本屋の店主と、店主に求婚する女子高生、店主の憧れの女性とその夫など、一方通行の恋愛が交差し二転三転する先の読めないラブコメディ。古本屋店主・多田浩司を演じるのは、映画、ドラマ、舞台と幅広く活躍中の瀬戶康史。多田の憧れの女性・一花(いっか)役は、ロックバンド・ゲスの極み乙女。のドラマーで、最近は女優としても活動の幅を広げるさとうほなみ。多田に突然求婚する女子高生・岬役に、話題作への出演が相次ぐ河合優実ほか、中島歩、向里祐香、丈太郎が集結。不器用ながらもまっすぐに思いを伝える人たちの切実さとおかしみが、城定・今泉両監督の持ち味とも言える優しさとユーモアを携えた視点ですくいとられていく。
古本屋の店主・多田(瀬戶康史)は、昔のバイト仲間、一花(さとうほなみ)のことが忘れられない。その古本屋には、女子高生・岬(河合優実)が通い、多田に一途に求婚してくる。一方、亮介(中島歩)と婚約中の一花。結婚式の準備に追われる彼女は、亮介とウェディングプランナーの美樹(向里祐香)が男女の関係になっていることを知らずにいて...。
(C)2021「猫は逃げた」フィルムパートナーズ
2021年/日本/109分/DCP上映
監督:今泉力哉
脚本:城定秀夫
出演者:山本奈衣瑠/毎熊克哉/手島実優/井之脇海/伊藤俊介/中村久美/オセロ
片想いでも、両想いでも、夫婦でも、恋人でもーーー。
猫も呆れる、愚かで不器用な 4 人の男女の
密やかな揉め事。
監督:今泉力哉×脚本:城定秀夫による本作は、飼い猫”カンタ”をどちらが引き取るかで揉める離婚直前の夫婦とそれぞれの恋人の物語。レディコミ漫画家の町田亜子を演じるのは、モデルとして活動する傍ら、アート展のキュレーターなども務める山本奈衣瑠。亜子と離婚寸前の夫で、週刊誌記者の広重役には、主演映画『ケンとカズ』(16)で数々の新人俳優賞を受賞以降、映画やドラマに活躍する若手実力派・毎熊克哉。広重の同僚で、浮気相手でもある真実子役には、2022 年に『よだかの片想い』など公開作が待機中の新星・手島実優。亜子と関係を持っている雑誌編集者の松山役には、作品ごとに独特の存在感を残す若き演技派、井之脇海。そのほか、映画初出演となるオズワルド・伊藤俊介や今泉組常連の芹澤興人などが脇を固める。片想いでも、両想いでも、夫婦でも、恋人でも―――。巧妙にツイストする城定脚本と今泉監督ならではの緻密な演出が紡ぎ出す、迷える 4 人の男女と1匹の猫の物語。
漫画家・町田亜子(山本奈衣瑠)と週刊誌記者の広重(毎熊克哉)は離婚間近の夫婦。広重は同僚の真実子(手島実優)と浮気中で、亜子は編集者の松山(井之脇海)と体の関係を持ち、夫婦関係は冷え切っていた。2人は飼い猫カンタをどちらが引き取るかで揉めていたが、その矢先、カンタが家からいなくなってしまい...。
2021年/日本、韓国/118分/DCP上映
監督・脚本・ナレーション:ヤン ヨンヒ
年老いた母が、娘のヨンヒにはじめて打ち明けた壮絶な体験—————
1948 年、当時 18 歳の母は韓国現代史最大のタブーといわれる「済州4・3事件」の渦中にいた。
朝鮮総連の熱心な活動家だった両親は、「帰国事業」で3人の兄たちを北朝鮮へ送った。父が他界したあとも、“地上の楽園”にいるはずの息子たちに借金をしてまで仕送りを続ける母を、ヨンヒは心の中で責めてきた。心の奥底にしまっていた記憶を語った母は、アルツハイマー病を患う。ヨンヒは消えゆく記憶を掬いとろうと、母を済州島に連れていくことを決意する。
監督は『ディア・ピョンヤン』『かぞくのくに』など、朝鮮半島と日本の悲劇的な歴史のうねりを生きる在日コリアン家族の肖像を親密なタッチで写し続けてきたヤン ヨンヒ。なぜ父と母は、頑なに“北”を信じ続けてきたのか? ついに明かされる母の秘密。あたらしい家族の存在...。これまで多くの映画ファンを魅了してきた、あの〈家族の物語〉が、まったくあらたな様相をおびて浮かび上がる。ひとりの女性の生き様をとおして、国家の残酷さと同時に、運命に抗う愛の力を唯一無二の筆致で描きだす。
2022年/日本/110分/DCP上映
監督:黒部俊介
ナレーション:内藤陽
父が牛飼いになって、もうすぐ50年になります。
牛飼いになる前、父は医学部の学生でした。
父が医者ではなく牛飼いになったのは、
自衛隊とたたかうためでした。
岡山県北部の山間の町、奈義町。人口 6,000 人のこの町に陸上自衛隊「日本原 演習場」がある。日露戦争後に旧陸軍が村々を強制買収して設置、占領軍に接収されたのち自衛隊に引き継がれ、今日に至る。奈義町は自衛隊との「共存共栄」を謳ってきた。日本原では昔から地元住民が山に入って土地を共同利用する「入会」が行なわれ、演習場内の耕作権などが防衛省から認められている。しかし、いまや場内で耕作しているのは本作の主人公・内藤秀之さん一家だけとなった。“ヒデさん”と親しまれる内藤さんは 50 年にわたり牛を飼い、田畑を耕してきた。彼を知る人は言う。「ヒデさんは医者にならずに婿入りして牛飼いになったんよ」。1960 年代の終わり、岡山大学の医学生だったヒデさんは、なぜ牛飼いになったのか?
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