2025/1/24(金)〜2/13(木)
——ハル・アシュビーが描いた、100万通りの青春——
ウィリアム・ワイラーやジョージ・スティーヴンスなどハリウッドの巨匠の元で編集アシスタントとしてキャリアをスタートさせ、『夜の大捜査線』(1967年/ノーマン・ジュイソン監督)ではアカデミー編集賞を受賞したハル・アシュビー。1970年に『真夜中の青春』で監督デビューすると、『さらば冬のかもめ』(1973年)や『ウディ・ガスリー わが心のふるさと』(1976年)、『チャンス』(1979年)など70年代に数々の傑作を生み出した。しかし80年代になると低迷、59歳の若さでこの世を去る。
興行的にも批評的にも振るわず、失敗作の烙印を押された80年代の諸作品だが、はたしてそうだったのだろうか?デビュー作から遺作、代表作、そして知られざる作品をセレクト。今、改めてその目でハル・アシュビーを見て欲しい。
The Landlord
1970年/112分/アメリカ
監督:ハル・アシュビー/脚本:ウィリアム・ガン/撮影:ゴードン・ウィリス
出演: ボー・ブリッジス、リー・グラント、ダイアナ・サンズ、ウォルター・ブルック、ルイス・ゴセット・Jr、パール・ベイリー
29歳になった富豪の息子エルガーは突然家を出て、黒人街にある古いアパートを買い取り家主となった。住人たちを立ち退かせ高級アパートに改装する目的だったが、次第に彼らと親しくなり…。編集者としての地位を築いたハル・アシュビーが、ノーマン・ジュイソン製作の元発表した監督デビュー作。冒頭に差し込まれるショットは、アシュビーとジョーン・マーシャルとの実際の結婚式の様子。
Second-Hand Hearts
1980年/102分/アメリカ
監督:ハル・アシュビー/脚本:チャールズ・イーストマン/撮影:ハスケル・ウェクスラー
出演: ロバート・ブレイク、バーバラ・ハリス、ソンドラ・ブレイク、バート・レムゼン、シャーリー・ストーラー、コリン・ブーン、アンバー・ローズ・ゴールド
酒浸りの流れ者が酔った勢いで結婚した未亡人。彼女には3人の子どもがいたが、亡夫の両親の元にいた。子どもたちを取り戻しカリフォルニアへと向かうロードムービー。1979年に撮影されたもののしばらく公開されず、1981年にごく一部で公開された。興行的にも批評的にも失敗となった今特集一番の問題作。これまで日本ではソフト化も公開もされなかった作品。日本初公開!
Lookin' to Get Out
1982年/120分/アメリカ
監督:ハル・アシュビー/脚本:アル・シュワルツ、ジョン・ヴォイト/撮影:ハスケル・ウェクスラー
出演: ジョン・ヴォイト、アン=マーグレット、バート・ヤング、ジュード・ファレス、アレン・ケラー、バート・レムゼン、リチャード・ブラッドフォード、アンジェリーナ・ジョリー
ギャンブラーのアレックスはポーカーで大負けしてしまい、相棒ジェリーと一発逆転を狙うためにラスベガスへと向かう。そこで二人はある勘違いからホテルのスウィートルームに泊まることになるが、取り立て屋もやってきて大騒動に。『帰郷』(1978年)でタッグを組んだジョン・ヴォイト主演&脚本。アンジェリーナ・ジョリーの映画デビュー作でもある。15分の未公開映像を含むエクステンデット・バージョン!
8 Million Ways to Die
1986年/115分/アメリカ
監督:ハル・アシュビー/原作:ローレンス・ブロック/脚本:オリバー・ストーン 、デヴィッド・リー・ヘンリー/撮影:スティーヴン・H・ブラム
出演:ジェフ・ブリッジス、ロザンナ・アークエット、アンディ・ガルシア、アレクサンドラ・ポール、ランディ・ブルックス
捜査中に丸腰の容疑者を撃ったことがきっかけで休職したアルコール依存症の元麻薬捜査官マシュー。禁酒会に参加し社会復帰した彼は、あるパーティーで知り合った売春婦から助けを求められるが、彼女は殺されてしまう。マシューは犯人を突き止めるため事件を追うのだが…。犯罪小説の名手ローレンス・ブロックの探偵小説を映画化。アシュビーは本作から2年後の1988年にこの世を去った。
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